鬱はどんどんひどくなっていった。鬱な気分を紛らわすために酒を飲む。翌朝もっと鬱がひどくなる。そんなことを繰り返していた。酒量はどんどん増え、食生活も酷いものになっていった。

 ある日記憶を無くすくらいまで酒を飲んだ時は母親に訳のわからないLINEのメッセージを送っていたらしい。

 鬱になった原因は複合的なものだ。気楽だがやりがいのない仕事、半減してしまった収入、慣れない夜勤による生活リズムの崩れ。自分がこれまで生きてきて何もいいことは起こらなかったし、これからも起こることはないだろう、何もかも終わってしまった、もうどうしようもない。そんな気分になってしまっていた。

 

 今日は久々の出勤だった。

 同僚の女性と朝会話を交わす。

 「久々やね」

 「そうだね!どこか行ってきたの?」

 「長野まで。雪がまだ残ってたよ」

 「そうなんだ。リフレッシュできた?」

 「うん。お土産買ってきたから後で渡すよ」

 「うれしい!ありがとう!」